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「学校の地下室にお化けが出るらしいぞ」

「そんなバカなことがあるもんか。おまえ、オカルト映画の見すぎだよ」

「なにいってんだ。ちゃんと先輩から聞いたんだぞ」

昭和四十九年八月十二日、九州佐世保市にある某中学校でのことである。














 「その先輩だって、自分で見たわけじゃないでしょう」

村田美子さん(二年)も、お化けを否定する一人であったのだ。

お化けがいるらしいという生徒四人、それを否定する生徒五人で口論は続けられた。 

「それじゃ、先輩のところへ行って、はっきり聞いてみよう」

村田さんたちは、さっそく近くに住んでいる先輩の家を訪ねた。

高校一年の先輩はちょうど帰ってきたばかりで家にいた。








「ああ、本当だとも。首のない女のお化けや片目の男の幽霊が出てきたよ。オレもちゃんと見た。それに、あの不気味なうめき声を聞いたら、当分は眠れないぞ」

その先輩は、自分が見たときの様子を身ぶりをまじえて話した。

「まだ信じられないわ」

先輩の家からの帰り道、村田さんたちの否定派が言った。

「嘘か、本当か、地下室へ入って調べてみようじゃないか」

飯島君がもちかけた。

彼はやや中立的ではっきりした態度は表明していなかった。

「よし、行ってみよう」







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こうして、その夜、学校の地下室へ忍び込んでお化けが出るかどうか調べることが決まった。
行くことをはっきり表明したのは六人だけであった。

「美子、本当に行くのか?」

飯島君が心配そうに聞いた。

村田さんは大きくうなずいた。










「じゃあ、九時半に集合だ」

そして、六人が集まった。

村田さんたちは当直の先生に見つからないように地下室へ入って行った。

鍵をこじあけるのにひと苦労だった。

村田さんたちは、懐中電灯を持ってきていた。

コトンコトン…。

六人の足音は、地下階段に不気味に反響し、思わず自分の足音にうしろを振り返る人もあったほどだ。






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「ヒヒヒヒッ……」

黴臭い地下室に入って間もなく、不気味な笑い声が聞こえた。

村田さんたちはまっ青になって悲鳴をあげひとかたまりになった。

「きゃあ!」

六人の照らす懐中電灯に、地下室の床に散らばる白骨がうつし出されたとき、村田さんたちは息を呑んだ。

「うううっ…ううっ…」

しめ殺されそうなうめき声が起こったとき、村田さんたちは、もう恐怖に足が動かなくなっていた。













 「ぎゃあーっ!」

首のない女の霊が、スーッと六人の目の前に現れたとき、みな腰を抜かしその場に座り込んでしまった。

ショックのため、村田さんも飯島君も半日ほど入院してしまった。

この校舎は古く、終戦のときこの地下室で死んだ人がかなりおり、その霊体がいまも現れるのだ。






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