石本

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月末の残業を終え、事務室を出たのは夜の十一時に近かった。
まったく人使いのあらい会社だ。
部屋にはだれも残っていない。
ドアの脇のスイッチを押すと、事務室が急に暗黒の倉庫に変わった。
コト、コト、コト…。
私の靴音だけが廊下に響く。
ロッカールームはひっそりと静まりかえって、まるで西洋の死体置き場のようだ。
「死体置き場…」
どうしてそんな言葉を思い出したのだろうか。
やはりN君のことが頭のどこかにのこっているのかな。








N君は高校を終え、私といっしょにこの会社に入った。
ひとめ見たときから気弱な印象の男だった。
女にしたらさぞかし美人になりそうな、そんなやさしい面差しで、性格も顔立ちに負けず劣らずおとなしい。
おとなしすぎるくらいに…。
言っちゃあわるいが、そばにいると、ついついいじめたくなってしまう。


そのN君が社内でも一番底意地のわるいS課長のところに配属されたんだから運がない。
N君もずいぶんとつらい思いをしただろう。
実際の話、S課長の新人いびりは相当なものだ。
うわさは山ほど聞いている。
新入社員を鍛えるというたてまえにはなっているが、本当にそれだけかどうか。
一種のサディズムなんだな、あれは。
やりかたもきたない。
仕事のうえで、わざと落とし穴を作っておいて、そこへ部下が落ちるのを待っている。
落ちたところで舌なめずりをして近寄って行って、どなり散らし、それからイジイジといやみを言う。
へたに反抗すると、もっとひどいわなを仕掛ける。
たまったものじゃない。

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その夜、二匹の風邪のビールスが風に揺られて町をさまよっていた。
雲は凍てつき、今にも雪の降り出しそうな寒い夜だった。
「寒いな。だれか人間の体の中にもぐりこもうぜ」
「うん。このままじゃ凍え死んでしまうぜ」
そうつぶやきあっているとき、二人のサラリーマンが町角にに現れた。
「あれにしよう」
「あんまりいい男じゃないな」
「より好みしているときじゃないぜ」
「まあ、そうだ。二人ともいいあんばいに疲れているらしい」
二匹は風に揺られて男たちの口元に近づき、二人が息を吸った瞬間に、スイと鼻から肺へともぐり込んだ。





男たちの名はマジメ氏とナマケ氏。
同じ会社に勤めるサラリーマンだった。
マジメ氏はその名前の通り生真面目な男で、この日も夜遅くまで残業をし社宅へ帰る途中ちょっと駅前の居酒屋に立ち寄った。
体は綿のように疲れていた。
一方、ナマケ氏は退社時刻を待ちかねるようにして会社を出て、そのまま麻雀屋へ足を向けた。
それがナマケ氏の日課だった。
昨夜も一昨夜も十二時過ぎまで雀卓を囲んだ。
「たまには少し早めにきりあげようぜ」
「ああ、そうしよう」
十時過ぎに麻雀屋を出て、駅前の居酒屋に立ち寄った。
そこでマジメ氏に出会った。
「ぽつぽつ帰ろうか」
「ああ、オレも少し疲れた」
「麻雀も結構疲れるものらしいな」
「うん。仕事より疲れるぜ」
店を出て大通りの角にさしかかったとき、折あしく二匹のビールスとめぐりあったのだった。



























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小さな窓から見下ろすと、氷滴をいっぱいにつけた翼があった。
飛行機はいまE山脈の上空あたりを飛んでいるのだろう。
モクモクと一面にひろがった雲海の中に、ときおり、孤島のような山頂が頭を出している。
私は少し眠ろうと思ったが、どうも眼がさえて眠れそうもない。
出張先で起きた仕事のトラブルが頭の中にいつまでも残っていて、スッキリした気分になれなかった。
長い旅行だった。
家族たちはみんな元気でいるだろうか。
早く家に帰って子供たちの顔が見たかった。

























「キャンディーはいかがですか」
急に耳元でスチュワーデスの声が聞こえたので、私は目をあげた。
「あ」
私は思わず小さな声をあげた。
スチュワーデスがふり向いた。
「どうかなさいましたか」
私はもう一度しげしげとスチュワーデスの顔を見つめた。
「いえ、べつに…」
私は少なからず狼狽した。
ゆっくり考えてみれば少しも驚くことではない。
ただの記憶ちがいではないか。
スチュワーデスは知人の妹によく似ていた。
"似ている" というより多分本人だろう。
その知人は、知人といってもそう近しいあいだがらではない。
学校時代に親しくしていた友人・N君の、そのまた知人で、顔を見ればちょっと会釈をするような、その程度の知り合いであった。






















そんな知人の妹なのだから、いままでに彼女と話したことはない。
ただ、彼女の職場が私の勤務先に近いらしく、向こうは気がついていなかっただろうが、以前はよく電車の中やビル街で顔を見たことがあった。
しかし…私の記憶では、その女はたしか何か月前に "死んだ" はずであった。
N君といつかコーヒーを飲んだとき、
「キミも知ってるKさんの妹、このあいだ急死してしまってね」
こういわれて
「ああ、そう」
と、なにげなく答えた…そんな記憶が私にはあるのだ。
"死んだ" 人間が、こんなところでスチュワーデスをやっているはずはない。
人違いだろうか?
いや、そんなことはない。
なんども見なれた顔なのだから…。
しかし、ゆっくり考えてみれば、そう驚くほどのことではなかった。
つまり私の聞き違いだったのだろう。
そう親しい知人のことではなし、N君もどこからか間違ったうわさを聞いたのかもしれない。
それに、だれかべつのお嬢さんのこといったのを私が勘違いしたのかもしれない。
このての勘違いは世間ではよくあることだ。仕事のことをあれこれ考えていたので、ついウッカリ妙な連想をして、思わず声をあげてしまったのだろう。


















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「うーん…」
私たちは、その家の入り口に立ったとき思わずうめき声をあげた。
中に入る前から強い霊気を感じたからだ。
玄関は釘づけにされていたので、脇へまわり、くすわれかけた雨戸をこじ開けて、中へ足を踏み入れた。
家の中はカビ臭かった。
内部は崩れかけた戸の隙間から差し込む光で、ぼんやりと明るかった。
私たちは手にした懐中電灯で足もとを照らしながら、あたりをうかがった。









一階は部屋が四つに台所と風呂場、便所があり、かなり広い家であった。
さすがに障子ははずれ、壁ははげ落ち、その荒れ方は凄まじかった。
二階への階段が廊下のすみにつながって見えた。
すでに傾き、風雨にくずれ落ちた壁土がところどころにこびりついている。
はずれかけた踏み板を注意しながら上へあがると、六畳と四畳半の二間が続いていた。














天井板ははがれ、屋根裏がのぞいている。
そこから風がひんやりと吹き込んでいた。
畳の上には、砂がぶちまけられたように散乱していて、歩くとジャリジャリと不気味な音をたてた。
神経を逆なでするような、いやな感じだった。











幽霊になって出てくる女が首を吊ったのは、六畳であったという。
私はその六畳間に座り込んだ。
そして、昼間聞いた近所の老人の言葉を思い出していた。
「確かに幽霊は出るよ。あの家には、女の恨みがこもっているんだものな。うん、幽霊を見た人は何人もいる。わしだって二回見ている。白っぽい着物を着た女が庭をフラフラと歩いているのと、青白い女の顔が、二階の窓からのぞいているのをな…」
同行の記者は落ち着かないらしく、やたらとタバコをふかしながら、部屋の中を歩きまわっていた。













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