石本

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    7E340CF5-2DA5-4C2C-B88B-A2C3AADD98F5
    37BE5EF2-2D94-44D8-B2E7-176052C723BE
    23695F94-081F-4458-B9CA-64179F0FE579
    1AA62636-4518-4881-87D1-0CF2430E3E30
    70B4935C-98CA-4771-93C3-5C3F342AD8CB
    ECE3982C-7E29-48AD-ACFB-5E64E2DAD6FA
    51F5989D-9932-4AEF-B756-25E1F568AF0D
    D6B3D7F2-121D-4287-A469-3FEA7D5AA1BD
    B3154E16-4A0E-4E5C-AF15-B7EA3ACEE2B4
    CFFC6781-57DB-445C-9554-7880B4EFB6F6

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender








    吉沢礼子さん(二十二歳)は京都市に住むスラリとしたスタイルの細面で目と唇のとてもきれいな娘だった。

    昭和四十一年の五月初め、礼子さんは人生の新しい門出の準備に大わらわだった。

    挙式を十日後に控えた彼女は晴れ着の仕上げや彼との新居を見に行くやら家具を調べなおすやらで多忙な毎日を送っていた。

    とても幸せだった。



    その日、礼子さんは家に来た結婚相手の彼と食事を共にしてから久しぶりに友人からの便りに目を通し始めた。

    どの手紙も彼女の新しい門出を祝うものばかりだったが、やがて一枚の便箋をなにげなく見た礼子さんは驚きの声をあげ、血の気を失ってしまった。

    手にした便箋は震える手の中でガサガサと音を立てた。


    その便箋は長野にいる親友からの手紙の中に入っていたもので、乱暴な男文字で、

    「おまえは、永遠に僕のものだ」

    とだけ、記されていたのだ。

    「こ、この字は根津さんの…」

    礼子さんは息もつまりそうだった。

    見慣れた乱暴な男文字こそ、彼女がその処女を捧げてまで愛した男の筆跡だったのだ。




    二年前、彼女は高校を卒業すると親友と一緒に東京に行き、ある商事会社のタイピストになり、夢のような楽しい生活を送り始めていた。

    ある日、礼子さんは公園で見かけたポール・アンカによく似た根津洋一さんを一目で好きになってしまった。

    根津さんもまた彼女を心から愛した。

    彼女は自分から処女を捧げてその愛の深さを示した。

    🟡姉妹サイト


    二人はアパートを借りて同棲した。

    根津さんは日曜日など朝から彼女を抱きしめてベッドから出さないほどで、彼女にセックスの楽しみを教えた。

    だが、二人の蜜のような甘い生活も、二ヶ月目、根津さんの妻が訪ねてきて壊れた。

    彼には結婚二年目の妻がいたのだが根津さんはそのことを礼子さんに話さなかったのだ。

    二人の仲は引き裂かれた。

    しかし、礼子さんはどうしても根津さんを忘れることができなかった。

    気持ちのうえでは妻のいることを隠していた根津さんを恨んだが、彼女の肉体は彼を恨むどころか彼がひそかに訪ねてくるのを待っていた。


    「いや!もう離れるのはいや、死んで!」

    数日後、根津さんがやって来た時、彼女はその胸にすがりつき心中をせがんだ。


    【死者からの手紙】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    ADF40F44-9E2F-4C09-8A5F-CC43C5FFF92B
    246848FC-7575-4B0D-8EDB-2EA27247D558
    7E7F7CB2-E981-43E6-992F-CDBC052F2E4F
    E38CD803-13B4-46CA-8835-64A1119A5A4A
    4B8C5E43-4A0C-43A1-8323-A9DA06100A11
    F9D3D763-426D-4942-82E2-1EC78B147831
    9BBABB18-EA38-4EAB-B2DA-88DCC9BBF987
    C625642F-4109-48C1-B42E-D393F622EE36
    5B8F2F77-1E93-4C8B-872A-B75DE2E2C462
    F30567C1-BD2F-4ACE-98AA-7761C4E635F8

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_6639

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    F06997D1-8A24-440D-AA0D-AF63494D2C82








    《喫茶店で》

    娘A   「アメリカじゃ赤ちゃんを売る母親がいるらしいわ」

    娘B   「残酷よねえ。あとで自分が売られた赤ちゃんだとわかったら、すごいショックよね」

    娘A   「ホント。その点、日本じゃ簡単に堕ろせるから…」

    娘B   「しあわせねえ」



    《精神病院で》

    患者 「先生。ボクは会社のコンピュータに恋しちゃって…。彼女のことを思うと気が狂いそうなんです」

    医者 「おやおや」

    患者 「しかしどんなに惚れてみたって結婚できるわけじゃなし」

    医者 「よくおわかりですね」

    患者 「そうなんです。社内結婚は禁じられているんです」




    《独身寮で》

    セールスマン 「ごめんください。結婚サービス・センターのものです」

    男 「結婚サービス・センター?」

    セールスマン 「はい、、ご婚約が相整いましたときには、ぜひとも私どもへご連絡くださいませ」

    男 「連絡すると、どうなるの?」

    セールスマン 「はい。式場、新婚旅行、洋服、指輪、家庭用電気器具、家具、アパート、その他結婚に必要なものはなんでも各メーカー、ホテル、旅行業者とタイアップいたしまして、ご予算に応じ流れ作業のようにお世話いたします。お二人は、もうベルトコンベヤーに乗ったように、ただ選ぶだけでたちまち新婚生活が始まり…」

    男 「それは便利だ」

    セールスマン 「はい」

    男 「で…そのベルトコンベヤーは、スイッチ一つで逆に戻すこともできるのかね」




    《牧場で》

    子ども 「ねえ、お母さん。ブタってどんなお仕事をするの?」

    母親  「生きているうちは、なんの役にも立たないのよ。死んでからとても役に立つの」

    子ども 「じゃあ、生命保険と同じなのね」



    《デパートの案内所で》

    少年  「おねえさん、早く…。ボクの兄さんが屋上から飛び降りようとしているんだ」

    案内嬢 「大変。110番かしら119番かしら…」

    少年  「ちがうよ。それより先にフィルム売り場はどこなの?」


    🔴姉妹サイト




     
    《母と子の家で》

    母親 「タロウ、あんた、この頃髪が薄くなってきたね」

    息子 「オレも気にしてるんだ。父さんは髪の薄い人だったの?」

    母親 「そんなこと言ったって、タロウ…父さんはいつも帽子をかぶっていたんだから」


    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    UTB (アップ トゥ ボーイ) 2023年 1月号 [雑誌]
    価格:1300円(税込、送料無料) (2022/12/14時点)




    《アパートで》

    若い男A    「キミ、念力を信じるかい?」

    若い男B    「うん。信じる」

    若い男A    「どんなときに?」

    若い男B    「屋上の物干し場にオレのパジャマを干しておいたんだ」

    若い男A     「うん…?」

    若い男B    「それか隣の奥さんのネグリジェにからみついちゃってさ…」




    【ブラックジョーク大全】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    20F30BA7-3F35-4BB2-98B3-9AADDC730B90
    9B64EE99-5DF5-4B51-8D03-574EFF4E4874
    282B3B8D-6514-4699-B301-170D786F1C30
    AC17EFBE-5027-4950-8FD6-AF86A7580270
    D7BFB4C9-768A-440D-84DC-D4765057922F
    14A9312D-792F-40AB-B6AF-B65E0C67A691
    A8105448-20C3-481D-B96C-E1FDBF426688
    A7D9C6C8-F78B-4D26-BE12-68816D3669B3
    54256BEF-AAAB-4CEE-B3C6-7595E0F8F4C2
    DACE5452-FF37-4932-8978-F41EDDF29E5D

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender







    『心中事件の女』
    昭和四十一年十二月二十九日、島根にある病院の一室は、静まりかえっていた。

    病室につめかけた患者の両親も医者や看護婦も無言のまま患者の様子を見つめていた。

    ベッドの上には心中未遂で収容された加藤時枝さん(二十一歳)が、青白い顔で不規則な呼吸をしながら眠り続けていた。





    時枝さんは、恋人との結婚を両親や親族の人に反対された。

    が、肉体関係があり妊娠までしている二人としては最後の手段の心中をはかったのだ。

    そして、男は死んだが時枝さんは他界寸前に発見され、病院にかつぎ込まれてしまったのだ。



    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    UTB (アップ トゥ ボーイ) 2023年 1月号 [雑誌]
    価格:1300円(税込、送料無料) (2022/12/5時点)






    「先生、助かるものでしょうか」

    母親が医者にそっと尋ねたとき、それまでまったく動かなかった時枝さんの身体がかすかに動き、重く閉ざされたいた目がかすかに開いた。

    「時枝!」

    母親は医者の制止も聞かずベッドに駆け寄り娘の両肩を揺さぶったが時枝さんにはそれが母親であることもわからぬまま再び深い眠りについてしまった。


    🟧姉妹サイト


    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    2022/11/05発売予定! 沢口愛華 2023年カレンダー 23CL-0257
    価格:3193円(税込、送料無料) (2022/12/5時点)













    【心中事件の女】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    2AE2B33D-C4EE-4CF2-9C1C-0F001841FE2E
    A1D9F800-42A1-4A0C-90B9-7C56ABCC7264
    B485A2B4-DF84-44AF-B743-702B4090FA1A
    CC52BB33-BD54-44D7-A4B1-92AD564DEBF0
    DAE1934F-3438-4A8E-9EC5-5D3A9E83365C
    48671A13-A75C-47C3-A93B-E092D4FF2166
    2EA393E8-0638-40EA-917E-57D7A064A3C1
    25776106-C4D8-4025-971D-D7D424BBD4B2
    1AE0FF72-7EDD-495A-9546-DC2675DD85E4
    C36F0921-CC95-4D80-BDC9-AABA1F7F0FFE

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572






    もの憂いばかりにおぼろな春の午後、ニョッキリと宙にそびえ立った高層ビルの真上に純白の雲が一つ、動くともなくポッカリと浮いていた。

    ビルの最上部の広間にはサラリーマン風の男たちが数十人集まって先ほどから紫煙を吐きながらざわめいている。

    「いい日和だ」

    「まったく。麻雀なんかやってる日曜日じゃないなあ」

    「家族連れでピクニックにでも行けば、いいパパなんだが…」

    「それができないんだなあ、オレたちは」

    「アハハハハ。お互いに因果な趣味を持ってしまった」

    「しかし "お呼びのナカさん" も張り切ってるじゃないか。こんな見晴らしのいい部屋を借り切って」




    窓からのぞくと眼下には玩具のような自動車が色とりどりの屋根を見せ、そのあい間に小さくうごめく人の群れがあった。

    「みなさん、お待たせいたしました」

    ハンディ・スピーカーを持った男が部屋の片隅に立って声をあげた。

    それが "お呼びのナカさん" だった。

    「ただいまより新角ビル王座決定麻雀大会を開催いたします。ゲームの開始に先立って、この大会の名誉会長、四菱製機取締役発田万二郎氏よりご挨拶をたまわりたいと思います」




    紹介を受けて恰幅のいい紳士がマイクを握った。

    「本日はご多忙のところ、また日曜日であるにもかかわらず遠路はるばる麻雀大会にお集まりいただきまして、まことにご苦労様でございます…」

    名誉会長の頬に微笑が浮かんでいる。

    場内にも小さな笑いが波立っている。

    雰囲気はすこぶるなごやかだ。

    新角ビルに勤めるさまざまな会社のサラリーマンが、たとえその中のほんの一握りの人数にせよ、こうして会社の枠を超えて親睦の集まりに参加するのは今までに例のないことであった。


    ナカ氏はスピーチに耳を傾けながら心中ひそかに思った。
    「やれやれ、これで大成功。苦労の甲斐があったというものだ」
    ナカ氏は四十二歳、四菱製機総務部第二課の課長補佐である。
    麻雀歴は二十年を越え、実力はともかくルールにくわしいのと "つきあい" のいいことでは仲間内でつとに有名だった。
    三人メンバーがそろって、もう一人足りないときには決まって、
    「じゃあ、ナカさんを誘ってみようか」
    「うん、それがいい」
    連絡をとればナカ氏は万障繰りあわせて駆けつけてくれる。
    これが "お呼びのナカさん" と呼ばれるゆえんであった。

    ⭐️姉妹サイト


    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    2022/11/05発売予定! 沢口愛華 2023年カレンダー 23CL-0257
    価格:3175円(税込、送料無料) (2022/11/8時点)





    こんなナカさんだから若い頃にはせっかくのデートをすっぽかしたりすることも何度かあったらしい。

    「あたしより麻雀のほうが好きなのね」

    ガールフレンドになじられ、ナカ氏は頭をかきながら、

    「いや、そんなことはない。これも仕事のうちなんだよ」

    「さあ、どうだか…」

    「いや、本当だよ」

    一生懸命弁解したが、二度三度重なれば女は去ってしまう。

    それ以来デートにはめっきり縁がうすくなり、三十五歳を過ぎてからなんとなく見合いをし、結婚をした。

    男の子が二人生まれた。

    当然のことながら家族は "お呼びのナカさん" の最大の被害者だった。








    「あなた、ほどほどにしてくださいよ」

    女房にそういわれて、ナカ氏も何度か麻雀をやめようと思ったが三人の仲間に誘われると彼の性格としてどうしても断れない。

    「これも仕事のうちなんだよ」

    ナカ氏は口癖のようにいつもこう弁解していたが、そのうちにナカ氏の麻雀は確かに "仕事のうち" といった様相を帯びるようになった。


    ナカ氏は、 "つきあい" がいいばかりではなく、どんなメンバーとやっても大きく勝たないし、大きく負けもしない。

    だから、どこのグループからも気安く声をかけられ "お呼びのナカさん" の顔は会社ではもちろんのこと同系会社の中でも知れ渡るようになった。




    セクト主義の盛んな現代の企業の中では、こういう人間は仕事の上でも結構重宝がられる。

    課の壁、会社の壁を越えた仕事となると "お呼びのナカさん" は恰好な橋渡し役となった。

    同僚たちの中には、

    「なんだ。どこにでもフラフラ顔を出して…」

    と、苦虫を噛みつぶす人もいないわけではないが、

    「いや、あれはあれで大変な特殊技能だよ。大したものだ」

    こういう評価が大勢を占めた。


    上役にもナカさんの特殊技能を認める人が多く、去年の人事異動では高卒職員としては珍しい抜擢を受けて課長補佐になった。

    それに気をよくしたナカ氏がいわばご恩返しのつもりで計画したのが今日の大会だった。


    【第四の男】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    1370A8DB-7B1F-4782-B637-D6CB4E338CB0
    10F155A1-FB2D-4ED5-B015-CD59CFCA4F30
    52593C9D-2F27-4180-A75E-553349CFDBB5
    78E3A5E1-029A-42B8-A8A3-8EBA7A58CEE8
    EA1F07F0-E737-4DA4-ABCE-C6E008223F27
    BFFA2323-AB38-4677-B949-8F25C68DE3BE
    2E91BB24-67CC-4345-8D44-F97410A40CD3
    54A9B8A4-F386-4481-804C-A82D7D754A40
    F76334F8-7A17-4A52-9133-3546583E9ADD
    58788FB2-DE1C-4C87-BC0B-467767A9DFD5

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender











    「残念ですが、もう…」

    懸命に手当てをしていた医者は、心配そうに立ち尽くしている両親にそっと言った。

    昭和五十年二月十六日、大分県の安岐に住む前沢圭子さんは、心臓病のため医者から死亡を宣告された。

    両親や祖父母たちは、圭子さんの十二年間という短かった生命に涙を流し、少女の死体を抱きしめ、名残を惜しんだ。




    だが、それから二十四時間後、奇跡が起こり圭子さんは生き返ったのである。

    「圭子ちゃん…」

    家族はもちろん近所の人たちもみなびっくりしていた。

    だが、もっとみんなを驚かせたのは少女が話した、少女の見てきた死後の世界のことであった。




    少女は次のような死後の世界を見てきたのだった。


    空をはじめ、あたり一面が真っ赤なところに私は立っていた。

    立っている足もとの上も血のように赤かった。

    どんどん通っていく人がいたので、その人について歩いた。

    だが、足がとても重く、全身がまるで鉛のようで思うように歩けない。

    喉が焼けつくように熱かった。


    ⭐️姉妹サイト




    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    2022/11/05発売予定! 沢口愛華 2023年カレンダー 23CL-0257
    価格:3175円(税込、送料無料) (2022/11/3時点)





    それでも歩かなければならなかった。

    というよりは、自然に足が前へ前へと出た。

    やがて、青々とした樹木がいっぱいに生い茂り、とても美しい花の咲いているところに出た。



    【死をのぞいた少女】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender








    「そんなバカなこと信じるなんて…。それよりか、もっとまじめに奥さんと別れることを考えてよ」

    マンションの一室。

    女がソファに身を横たえ、おくれ毛をかきあげながら男に言った。

    女は二十七、八歳。

    男はもう四十になる年頃であろうか。

    「そう簡単にいかないことくらいよくわかっているだろう。それよりか女房が死んでくれれば話はよほど簡単だぜ」




    女は鼻でせせら笑った。

    「ふん。本当に死ぬものならね。呪い殺しだなんてバカらしくてお話にもならないわ」

    「いや、それが違うんだってば。これは正真正銘のジプシーの秘伝なんだ。今までにだって成功した例はいくらでもあるんだぜ。だからこそ、大金を投じてこのナイフを借りてきたんじゃないか」


    男はそう言いながらカバンの中から細身のナイフを取り出した。

    ナイフの柄には絡み合う二匹の蛇が彫ってあった。

    鋭くとがった切先があやしい光を放っていた。

    よく見ると所々に不気味な血曇りがある。



    なるほど。

    これなら、これまでにいくつかの生命を呪い殺したように見えなくもない。

    女は依然として気乗りがしない様子でタバコの煙を吹き上げていたが、それでも、

    「このナイフでどうするのよ?」

    「死んで欲しいやつの写真にこれを突き刺すのさ。写真が血を吹けば、それでおしまい。そいつは三日以内に血を失って死ぬんだ」

    「バカらしい」

    「いいじゃないか。せっかく女房の写真まで用意してきたんだ。やるだけやってみようぜ。さ、オレが持ってるから突き刺しな」

    ⭐️姉妹サイト

    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    2022/11/05発売予定! 沢口愛華 2023年カレンダー 23CL-0257
    価格:3193円(税込、送料無料) (2022/10/23時点)








    【呪いのナイフ】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender












    「これを車で遠山さんのところへ届けてくれ」

    父がいきなり僕に用事を言いつけた。

    「気が進まないなあ。今日は昭和四十三年三月十三日、 "三" が三つもつく日だ」

    僕は眉をひそめた。

    これには深いわけがある。

    僕は埼玉県大宮に住む木田国夫という二十三歳にぬるごく普通の青年だが、ひとつだけみんなと違うところがある。

    僕は "三" の数字に呪われているのだ。








    昭和二十三年三月二十三日、当時三歳の僕は恐ろしい火事にあい、もう少しで焼け死ぬ目にあっている。

    それ以来、 "三"  の呪いが僕につきまとっているらしい。

    昭和三十三年三月三日。

    十三歳の時、三階の階段から一階まで転げ落ちて、大怪我をしている。

    昭和四十二年九月十三日には草野球でピンチヒッターとして出場したが、このとき、3番のヘルメットをかぶっていたのが運の尽きだった。

    頭に三球目のボールが当たって気を失ってしまった。



    🟩姉妹サイト





    こんなわけで僕は "三" のつくものすべてを恐れ、ひどく嫌うようになった。

    しかし父は僕の気持ちなど全然わかってくれないのだ。

    「ぐずぐず言わずに早く行って来い!」

    父にどなられて、僕は仕方なく車に乗った乗った。




    【「三」に呪われた男】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572
















    枕もとの時計を見てサトウ氏は "しまった" と思った。

    時刻は四時を十数分過ぎている。

    なんということだ。

    午前五時に集合と堅く命じられていたのに…。

    職場まで車を飛ばしても四十分はかかる。

    重大な職務をゆだねられていながら朝寝坊をするなんて、とても許されない。

    サトウ氏は布団を蹴って跳び起き、新しい下着と制服を身につけた。

    それから電気カミソリをポケットに突っ込み、車庫から車を出した。

    ハンドルを握りながら片方の手でひげを剃る。

    四時二十分。

    スピードを出せばギリギリ間に合うかもしれない。



    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    あなたの横の【Blu-ray】 [ 横野すみれ(NMB48) ]
    価格:3344円(税込、送料無料) (2022/10/17時点)





    昨夜はなかなか寝つかれなかった。

    まどろんだかと思うと、すぐにおかしな夢を見た。

    庭の片すみに高い木があって、緑色の木の実がぶらさがっている。

    近づいてよく見ると、みんな人間の首だ。

    瞳のない、白い眼が恐ろしい。

    驚いて目を覚ましたらもう眠れなくなった。

    時計が三時を打ったのを覚えている。

    いっそあのまま起きてしまえばよかったんだ。

    ついうとうとしたばっかりに寝過ごしてしまった。


    県道に入ってサトウ氏はスピードを八十キロにあげた。

    雨雲が垂れ込め、夜明けにはまだ間がある。

    こまかい雨と靄が視界をさえぎって見通しは最悪だ。

    速度計は確かに八十のあたりを指しているのに車の動きがやけにもどかしい。

    こんな時に限ってやたらと赤信号にかかる。








    今日ばかりはどうしても遅刻するわけにはいかない。

    サトウ氏はさらに車の速度をあげた。

    あと四分で五時。

    ようやく前方に長い灰色の塀が見えて来た。

    うまくいけばきわどいところで間に合うかもしれない。

    赤信号を二つ、スピードをゆるめずに突っ切った。

    ついでにもう一つ信号を無視しようとしたとき、急に塀のくぼみから黒いものが走り出た。



    🟧姉妹サイト









    【時間外労働】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender






    🟪姉妹サイト







    「これ、砂が落ちるまでに、ちょうど二分かかるんです。体温を計るときに便利ですよ」

    隣のベッドに寝ている男がささやいた。

    ガラスの筒を倒すと薄曇色の流砂が音もなく滑り落ちる。

    私はそれを見ながら体温計を口にくわえた。

    ガラスの冷たさが唇にここちよい。

    このぶんでは熱は四十度をくだるまい。

    体はベッドにキッチリ固定され、激しい疼きだけが肢体のありかを教えてくれた。






    「あなたも電車の事故ですか?」

    隣の男が細い声で尋ねた。

    「ええ。あなたも?」

    「そうです」

    今朝がた山手線の架線事故があって、電車が数十分遅れた。

    都会に住むものならば、きっとご存知にちがいない。

    ラッシュアワーに事故が重なると、どれほど "すばらしい" 混雑となるか…。

    ターミナルのA駅は、私鉄から送り込まれる乗客でホームも地下道もみるみるふくれあがり、とりわけ狭い階段のあたりでは数百の黒い頭が押しあい、へしあい、帯となって巨大な怪物のように蠢いていた。



    ⭐️美女満載






    「危険ですから列を作って順序よくお進みください」

    駅員が声をからして呼びかけるが、先を急ぐ乗客たちは一歩でも早くホームに出ようとして争う。

    ギイギイと階段のきしめく音が不気味だ。

    「おい、押すな」

    折しもまた新しい電車が到着してネズミ色の群れを吐き出した。

    列の背後から津波のように黒いうねりが起こり、それがそのまま重い流れとなって階段の際まで走った。




    【砂時計】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    423EAF10-4244-4464-B645-1E75174B2A09
    53594644-F253-44B1-B62B-DD900F89E758
    6F0B8044-C7F7-40B8-8E02-AB0D65FB7F67
    28CCDC31-49E8-4FEC-991D-E05B3B0BCC4E
    400F5623-1B7F-4323-9A89-66EBDFB21398
    5CF161A6-4F9F-4D12-A7DB-6779BAB5924C
    8534E699-C5FF-4D36-90FB-054D0C389334
    0CA7C84D-B85E-40F2-A424-60D02352B5C3
    FF0FB274-25B8-42C8-9356-C57AC91B3098
    EE657440-4996-4BA0-93F6-33AC0B7F43B2

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender














    その絵を見たとき、今井宏子(仮名・十四歳)は瞬間なんとなくいやな気がした。

    「すごい迫力だろう。作者はわからないが、これを描いた画家は天才的な腕だよ」

    父親はそう言うと、インドから買ってきた一枚の油絵を宏子の部屋の壁にかけた。

    父親は貿易商。

    絵が趣味である。

    仕事で海外へ行くたびに掘り出し物の絵画を見つけては買ってくるのだ。

    しかしなんという不吉な迫力に満ちた絵なんだろう…。

    地平線の彼方にまさに沈もうとしている血のような真赤な
    太陽。

    その残照に染まった太い大樹の下で、頭にターバンを巻いた一人のインド人がひざまずき、祈りを捧げている絵だった。






    インド人の皮膚は、ひからびたミイラのような色だ。

    骨が飛び出し削り取ったような頬。

    そして黄色く濁った異様に大きい目。

    「いやだわ、こんな絵…」

    宏子はそう思った。

    昭和四十八年七月。



    🟧美女満載




    その夜はむし暑い夜だった。

    網戸をつけた窓をあけ放っても、風は入ってこない。

    真夜中、あまりの寝苦しさに宏子はふと目を覚ました。

    地虫のジーッという声が耳についた。

    と、その地虫の鳴き声にまじって遠く低くもう一つの別の声が宏子の耳に聞こえてきたのだ。


    その声は呪文のようだった。

    宏子はギョッと耳をすました。

    「オレが死んだとて、だれが泣いてくれよう。オレが死んだとて、だれが泣いてくれよう」

    声はそう言っていた。

    すすり泣くような男の声でそう言っていた。

    すぐ近くのようでもあり、遠くのようにも思える呪文めいた声。

    まるで宏子に向かってささやきかけるようなその声。

    宏子はタオル掛けを、頭からかぶると耳をふさいで震えていた。









    恐ろしい呪文は次の夜も聞こえた。

    三日目の夜がきた。

    宏子は恐怖で眠れなかった。

    やがて真夜中、またしても呪わしいあの声が聞こえてきたのだ。

    部屋の中に青白い月の光が差し込んでいた。

    激しい恐怖に襲われたが宏子は目をあけて声のする方を必死に探った。

    宏子の視線が壁の不吉な絵に向けられた。

    その瞬間、宏子は見たのだ。



    🟨沢口愛華





    チカッと絵の中の一部が変化したのを見たのだ。

    目だ。

    絵の中のインド人がまばたきをしたのだ。

    青白い光を浴びて、まばたきをしたのだ。

    「きゃーっ!」

    宏子はあまりの恐ろしさに悲鳴をあげた。


    彼女が原因不明の高熱を出したのはその夜のことである。

    高熱にうなされながら、

    「絵が…絵のインド人が生きている…」

    宏子はうわ言を言い続けた。

    「宏子、しっかりしろ。絵のインド人がどうしたというんだ」

    心配した父親は言った。

    「いや、いや、早くあの絵をはずして…ああ、また、また、声が…怖い…」

    父親にはわけがわからなかった。





    【不吉な油絵】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    49AB3C38-B929-494E-A45D-BDF44AFBC574
    B70D7794-CDF4-4E04-BAC8-6EF22C482BBC
    9DBDE4B1-DA45-4D27-8AE4-0FBA418413F6
    DD91D4DC-A1DE-481B-AAE9-FD55D1A3FB4A
    4CD9C174-61B5-4A1E-9337-9ABA389B189F
    4CEC70E6-57E1-4689-BEC7-2F7AC6775654
    002B79D3-203D-4534-A9DE-2AAFAB7C0670
    1BAEADD7-EA1D-4DA2-84D4-6190FD58E88E
    2E2ACFF1-9C36-42A9-AF42-CB1311D467B3
    8AEBA35F-F710-4E92-B4C9-81C06A03DE65

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    D3B27E87-2087-4AF6-86B2-CB3D0FE61D83
    D9C780DE-86E0-44AF-BD93-6A9ED5F9C0C1
    79210132-F02B-4F5C-8F0D-F2A429DFCC38
    950EBEB6-7418-4C47-B1B5-1202DA03C465
    F67D69D4-C382-4BAA-828E-3380825BB336
    5E81711B-BF18-430F-A582-703CA9042820
    9032B55F-31B9-4759-9453-93171CDD23CF
    157A0462-9248-4112-B72A-6DD89E7B221A
    90F8B6E8-715C-4B32-962B-084BBA4BB4C7
    E118A9E9-55F1-48CC-B6E2-43643F7BE1A4

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    086DC616-317A-459A-8EF0-079F7E7A9856
    D19F8F5B-9AC7-4918-A6E3-E4BF29F7DB98
    4B801C77-4E60-4E45-A9D0-EBA14CFCD8A7
    7D99EEF9-8FE7-44F1-B603-B2CD78FFEADD
    06211088-EE2A-47B8-A560-0A9F2CCAE648
    88104B4F-B8B8-44F2-85E7-EC329D645C20
    21248B4E-FBF6-4EBC-A021-ABE00BF01B72
    3FE2248C-CEF4-486B-8648-7123BE993495
    979AE393-AEC8-47BD-A855-679A3E022D21
    B3B0A2EE-FA44-476F-954A-6CD2818D4666

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender







    「幽霊の出る旅館がある」

    私は読者から手紙をもらうと、記者を連れて出かけていった。

    「本当に出るのですかね。僕は怖がりだからいやですね」

    記者は目的の駅に着き、電車を降りるときになって逃げ腰なことを言い出した。

    駅からタクシーで約二十分、その旅館は一般の旅館街からちょっと離れたところにあった。

    昭和五十年三月十八日、奥日光でのことである。





    「お客さん、どうしてこの部屋のことを…」

    旅館に着くと、私は二階の「梅の間」を使わせてくれるよう頼んだ。

    すると帳場にいた女主人が出てきて、私の顔を見るなり言った。

    女主人は私をテレビなどで見て知っていたらしく、やむなくその部屋を貸してくれることになった。

    「どうか原因を確かめてください」

    女主人は自分で梅の間に案内してくれてから言った。

    私がこのM旅館(女主人の希望によって本当の名前は伏せる)に現れるといわれる幽霊を調べにきたのは、東京の某商事会社のグループが次のような体験をしたからである。


    🟧美女満載




    永野さんら男女五人は二月の末、この旅館に泊まった。

    その日、夕食後彼らは街へ出てスナックに入った。

    「あの旅館には女の幽霊が出るんですよ。知ってますか?二階の梅の間と、二階の共同トイレにね…」

    スナックで働いている男はそんな話をしだした。

    その男はM旅館にも勤めていたことがあって自分でも体験したというのだ。

    「そんなバカなことがあるもんか。きっとあの男は旅館で働いていて何かがあり、いやみを言っているんだよ」

    永野さんたちは、だれ一人として男の言うことを信じなかった。

    男三人は梅の間、女二人は向かいの竹の間で寝ることになっていたがトランプ遊びをするために、広い梅の間に集まった。

    「どう見ても幽霊の出るムードじゃないわね」

    大川友江さんは、トランプをやりながらスナックでの話を思い出して言った。

    部屋は新しく壁などもまだまっ白であり、とても明るい感じの造りだった。





    「幽霊なんてでっちあげられたものに決まっているじゃないか」

    永野さんは頭から否定していた。

    午前一時近く、大川さんがトイレに立った。

    田村春枝さんを誘ったが彼女は応じなかった。

    トイレは共同になっていて、女性用入口を入ると中には五つのトイレがあって、五つのドアがみな開いていた。

    大川さんは向かって右から二つ目のドアを閉めた。

    そして用をすませて立ち上がった。

    「あっ!」

    えり首にヒヤリと冷たいものが触れたのである。

    だが、彼女はさして慌てもせず、きちんと身なりを整えてからドアに手をかけようとした。

    「あらっ…」

    ドアが開かないのだ。

    ドアはまるで釘づけでもされたようにビクともしないのだ。

    「だれっ、いたずらしてるんでしょう!」

    大川さんは、ドアに耳をつけ、外の様子をうかがったのである。

    だが、人の気配はまったくなかった。


    🔷こちらもオススメ




    【血染めの幽霊】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    AE7D94AD-1E8D-467F-AC63-781EC57D457C
    1D6EEAC5-B650-4B42-B4FE-42312CF56B2C
    C5C0007F-0AF0-4E11-A366-828A8BBDA806
    80B4D499-5DC5-4CD7-BCEB-0CD9C9F14B7D
    795C4A2D-6165-43D4-8E31-20CE3DCDC5F3
    B5C42CD4-6927-4985-8C3F-8BC4A5591E5A
    E732E112-3F47-40CC-99D3-4CA5EB77B805
    2E1F7EF0-A446-4425-937B-C8BEC033ACD4
    E5851F32-6835-4E37-9779-4C0C9CC4D3EA
    8C802530-9680-470C-9463-4E10B080A4D8

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    F06997D1-8A24-440D-AA0D-AF63494D2C82



    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    NMB48本郷柚巴1st写真集 美しい果実 [ Takeo Dec. ]
    価格:2420円(税込、送料無料) (2022/8/17時点)





    (電話口で)

    課長 「もしもし、タナカさんの奥さまでいらっしゃいますか?」

    奥さま 「はい、そうですが…」

    課長 「実は工場で爆発事故が起きまして、ご主人が……あの、お亡くなりになりました」

    奥さま 「あら?それならそうと四時より前に連絡してくださらなくちゃ」

    課長 「申し訳ございません。なにぶんにも突然の事故で混乱しておりまして…」

    奥さま 「それで…主人はなにか言っていましたか?」

    課長 「はい。最後のご伝言をひとこと…。今夜の夕食はいらないって」



    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    【送料無料】BOMB!(ボム) 2022年6月号【雑誌】
    価格:1097円(税込、送料無料) (2022/8/17時点)



    (研究室で)

    学生 「先生。また本を貸してください」

    先生 「ああ、いいよ。どの本?」

    学生 「この前お借りしたのと同じような本を…」

    先生 「同じ著者の本かね?それとも同じテーマの本かね?」

    学生 「いえ。著者やテーマはどうでもいいんです」

    先生 「ほう……?」

    学生 「この前の本には一万円札が挟んでありました」


    (庭さきで)

    母親 「坊や、今日はなにをして遊んだの?」

    子ども 「みんなで電車ごっこをしたんだよ」

    母親 「そう。おもしろそうね」

    子ども 「うん。くじを引いて、二番の子が運転手で、三番の子が車掌になるんだよ」

    母親 「あら、一番の子はなんになるの?」

    子ども 「痴漢だよ」



    🟥美女満載





    (電車の中で)

    男A   「火事で家が丸焼けになったんだってな」

    男B   「うん。真夜中に "火事だ" って起こされてね」

    男A   「あわてただろう」

    男B   「もう膝がガクガクしちゃって、普段考えていたことなんかまるで手がつかなかったよ」

    男A   「なにも持ち出せなかったのかい?」

    男B   「現金と貯金通帳だけを」

    男A   「たいしたものじゃないか」

    男B   「しかし…女房を気絶させるのを忘れちゃって」


    (タクシー乗り場で)

    テレビ・リポーター 「タクシー料金の値上げが申請されましたが、どう思いますか?」

    運転手 「うーん。あげてほしいね。生活が苦しいから」

    テレビ・リポーター 「でも、大幅に値上げをすると、かえってお客の数が減るでしょう」

    運転手 「いや。わたしの場合は減らないね。お客さんの方も生活が苦しいからか

    テレビ・リポーター 「それ、どういう意味ですか」

    運転手 「うん。バック・シートに窓から見えるようにカラの財布を投げておくんだよ」








    (新婚家庭で)

    新郎 「君、もしかして、結婚指輪をはめる指を間違っていないかい?」

    新婦 「いいのよ。わたしたちの結婚も間違っていたんだから」

    (酒場で)

    父親A   「女の力は偉大だな」

    父親B   「そう思うかね」

    父親A   「うん。母親は、二十年間ただそのことだけを考えて、子どもを一人前の青年に育て上げるんだからなあ」

    父親B   「うん。まったく女の力はすごいよ。それを二十分間で馬鹿者に変えちゃうんだから」








    【ブラックジョーク大全】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    F510AD12-4194-4F4B-BFD5-D0B2AC617E3F
    41B31C37-BD96-4594-B7DE-C6AF6143924C
    7018B635-B554-475B-BBB4-C5F181A3C35E
    8FF04B94-03F7-4156-9B69-58317815A367
    56CB52A2-E7AF-467A-BA38-8CD88101E473
    43E1B0DF-6FB9-4418-B01B-FE7E0319BE49
    6119AC06-82EB-43D0-A7AB-A31070AAC2A2
    52CE33D1-2DEC-4EEA-9E33-54B845A6B8A3
    E4BC4520-A0EE-4ED2-8536-36E028101B36
    A6057918-9DFD-446F-8F10-854DDDBD670A

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    E8D6B67F-AC59-4A8D-8C5C-658D487C1B9D
    0656C299-FC72-4D37-8087-2CB69E4188D3
    98162717-4808-4F0F-93D8-0C287A190039
    6BDDE1A6-29C0-46A0-828C-0A773BC19321
    49435D1E-8580-4056-9E22-96CAEEE29DF4
    7DF214D7-7249-4DCA-B10F-B762B6EA4498
    77070A99-EB52-45E1-AB8E-26B24CB8D27E
    F2024D93-CF8F-4004-B1C1-7E28B95CD1E2
    676905B5-EFC0-45C5-8BDB-37FD00B5FCAC
    AE0FAFD6-DA07-40BC-99C6-BE03DBB298A9

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572







    「ああ、いい気持ち。儲けちゃったな」

    首までドップリ炬燵につかって私はテレビの深夜劇場を見ていた。

    新婚一年目で、住まいは民営アパートの四畳半。

    小さな炬燵がほしいと思って、昼間、裏通りの古道具屋さんで電気炬燵を一つ買って来た。

    それがポカポカと、とても暖かい。

    新品なんか買わなくて、ほんと、得をしちゃった。






    亭主はただいま出張中。 

    独りでのんびりとテレビを見ていると、いつの間にかうつぶせのままウトウト寝込んでしまった。

    …………

    初めはだれかがネグリジェのすそをそっとかきあげている、と思った。

    とても臆病な、とてもたどたどしい動作で…。







    「彼が帰って来たのかしら?」
    ボンヤリとそう思ったけれど、彼ならばもっとガサガサ乱暴な音をあげて入ってくるはずだし、それに今朝は鍵を持たずに出て行ったし…
    「私、夢を見ているんだわ」
    そう思って一層深く炬燵の中に潜り込んだ。
    そのうちに下着に手が掛かり、少しずつ脱がせ始めた。
    ちょっと動いては手が止まり、少し休んではまたモソモソと動きだし、ものすごく遠慮しているみたい…。


    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    【送料無料】BOMB!(ボム) 2022年6月号【雑誌】
    価格:1097円(税込、送料無料) (2022/8/8時点)






    私は脱がせやすいように軽く腰を浮かせた。

    でも、これはみんな夢の中のこと。

    少しくらい冒険(アバンチュール)を楽しんでもいいと思った。

    だれかが四つん這いになって、うしろから私をじっと見つめている。

    視線がとても熱い感じ…。

    「恥ずかしい」

    そう思った。

    まるでケダモノみたい。

    でも、そう言えば、足もとで私を撫でているのも人間じゃないみたい。

    四つ足のケダモノかしら?


    🔷こちらもオススメ

    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    NMB48本郷柚巴1st写真集 美しい果実 [ Takeo Dec. ]
    価格:2420円(税込、送料無料) (2022/8/8時点)






    【炬燵】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender





    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    BIG ONE GIRLS (ビッグワンガールズ) 2022年 9月号 [雑誌]
    価格:1485円(税込、送料無料) (2022/8/3時点)



    息子の弘一は、本が好きだった。

    とくに夜、床に入ってから本を読むのが癖になっていた。

    昭和四十二年四月のある夜。

    「ひゃわ、出た!」

    と、寝間着姿の弘一が、本を片手に握りしめて、部屋から飛び出してきた。

    「どうしたんだ…。二十歳にもなって、みっともない…」

    父親の私は、夜遅く子供のように騒ぐ弘一を叱りつけた。

    だが…。

    「お父さん、竹が…」

    弘一の言葉を聞いたとたん、私も真っ青になった。






    弘一の部屋に来てみると、青竹の先が四、五十センチほど畳を突き破って出ている。

    ごく普通のものだが、我が米山家にとっては恐ろしい呪いの竹なのだ。

    米山家は代々静岡県の三島市に住んできたが、十二年前、突然この青竹の呪いを受けるようになった。

    部屋に竹が出た日から、井戸の水がぴたりと出なくなり私の父親が急にどす黒い血を吐いて倒れた。

    あわてて医者を呼んだが、病名のわからない奇病だという。

    父親は全身が紫色になって、だんだん意識がなくなり、数日後には死んでしまった。








    すると、井戸の水が元通りに出はじめ、部屋の青竹はひとりでに枯れてしまった。

    この奇怪な現象は、その後二回起こり、私の妻と娘が死んだ。

    「たぶん、何かの祟りか呪いだ」

    私は、何度か神主にお祓いをしてもらったのだが、効きめはなかった。

    そのうえ、恐ろしい呪いの青竹が今度は息子の部屋に出たのである。




    🟨人気記事





      【恐怖の青竹】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender






    《山の主をいじめると、呪いをうける》

    この言葉を僕は信じている。

    そのわけをお話しよう。

    僕は東京都大田区に住む大学生、大羽義男だ。

    趣味は登山である。

    昭和五十年六月、僕は同級生の川島和夫君と二人で、秋田県にある田代岳に登った。

    二人が中腹にある沼の近くで弁当を食べているときだった。

    「大羽君、あれを見ろ…」

    川島君が沼の淵にいる大きなカエルを見つけた。

    体調が三十センチくらいで、身体が赤く、足が六本もある珍しいものだった。






    「よし、捕まえよう」

    僕は食事も忘れてそのカエルを追いまわした。

    大ガエルはすばしこくてなかなか捕まらない。

    「くそ!」

    腹を立てた僕は、先のとがった木の枝を投げつけた。

    木の枝はズバリとカエルの右目に突き刺さった。

    グエーッ!

    大ガエルはものすごい悲鳴をあげながら沼の中に跳び込んでしまった。








    「残念だったなあ。もう少しで捕まえられたのに…」

    僕たちは、旅館でも大ガエルの話をした。

    すると旅館の主人が顔色を変えて言った。

    「そのカエルは土地に人々から神様ガエルと呼ばれている山の主です。その目をつぶしたからには、あんたの目もつぶれますぞ」

    「まさか…そんなこと迷信だよ」

    僕はその言葉を信じようとしなかった。



    🟪よく読まれています






    【大ガエルの祟り】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572




    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    STRiKE!7回表【電子書籍】
    価格:1705円 (2022/8/2時点)



    家内を殺そうなんて、そんなだいそれたことを考えたことは一度もなかったんですよ。

    これは本当です。

    考えてみれば、ガミガミと口やかましいばかりの女で、金遣いは荒いし、家事はろくにやらないし、やさしいところは一つもないし、なんの取り得もないやつでしたからね。

    一生の不作です。

    こんな女とよくもまあ四十年も一緒に暮らして来たものだって、今思うと自分の辛抱のよさがつくづく不思議になりますよ。






    でも、殺人なんてぜんぜん頭に浮かばなかった。

    私は意気地なしだったんですね。

    それを教えてくれたのは、あの男なんです。

    あの男と言ってもご存知ないと思いますけれど…。



    彼は私の碁がたきなんです。

    先生と呼んだ方がよろしいのかな。

    白を持つのはいつも彼の方ですからね。

    初めのうちは「この手がいい。これは俗手だ」なんて、碁の手筋を教えてくれるだけでしたがネ、そのうちにいろいろと人生の教訓まで垂れてくれるようになりましてね。

    もし彼に会わなかったら、私もこんな気ままな余生が送れたかどうか…本当に感謝しているんですよ。


    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    【送料無料】BOMB!(ボム) 2022年6月号【雑誌】
    価格:1097円(税込、送料無料) (2022/8/2時点)



    ええ、碁は昔から好きでした。

    しかしサラリーマンのころはなかなかいい相手に恵まれなくて…。

    私自身、偏屈で人づきあいのわるいほうですからね。

    だから本気で碁が好きになったのは仕事をやめ、彼と会うようになったからなんです。

    囲碁というのは奥行きの深い遊びでしょう。

    勉強すれば勉強するほどあきるということがありません。

    すっかり夢中になって、朝から晩まで、晩から朝まで、それはもう四六時中碁盤にしがみついていたい心境でしたよ。


    家内にはそれがおもしろくなかった。

    「そんなくだらない遊びをするより庭掃除をしろ」とか「職安にでも行って、なにか家計のたしになる仕事を捜せばいい」とか、口うるさく指図して、それでも私が知らんぷりをしていると、ヒステリーを起こし馬鹿呼ばわりをして碁盤を蹴とばすんですよ。


    🔷こちらもオススメ





    【老後】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    4D063A06-2201-4C75-8B3F-0BAF113DE9A7
    157A3F3C-8718-4D4B-9EE0-1D39BB44F748
    7E392700-6646-4214-A0AF-E210C2DDDB8E
    C3FB133F-5FAC-4741-95BA-4C276EB1B1B3
    BFC74632-19A9-4180-8820-B289CA0DD3D1
    2825FC62-1517-4238-AF73-AA41310ED5E0
    A252E866-9D97-47CF-B0CB-A1475F8282CC
    7AF72EE1-B46F-46A7-8B6F-68C717505DE4
    FB858EE9-8FE5-459D-90A0-0BF071895AEE
    29FBAEDC-117E-44C6-9267-770958EA2760

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    10AF7107-4F92-4501-B5C2-EB1ED07DB445
    E9A99803-50E5-468C-A38F-A5EDF41DADB6
    74163950-4500-44CB-B7E1-7C682C1F091E
    4292FAED-E73D-4687-B235-04BA0B9FECEA
    A28E2658-0262-4087-9029-EDC0750381FE
    F023475D-118E-4692-82ED-493BD2F98898
    016EFE9A-BFC8-48A0-9711-062D473D97A3
    FC508084-8804-43F8-B52B-BAFEC0C72233
    BFEBAE4A-4688-4ADA-B00C-28B29F07E163
    EB7A18E2-CAD9-435A-81E2-55639D804E13

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender









    「なかなか快調じゃないか」

    商業デザイナーの難波竜夫氏(二十八歳)は、買い替えたばかりの新車を仲間にほめられ上機嫌だった。

    昭和四十年六月十一日、甲府での仕事をすませた彼は、仲間二人を乗せて夜になってから東京に戻った。

    「一杯やろうじゃないか」

    酒好きの彼にとって、酒という言葉は大きな魔力に似た力を持っていて、咽頭から手が出そうだった。

    だが、彼は今度新車を買うとき、妻の洋子さん(二十四歳)に、車を運転するときは絶対酒を飲まないことを約束していたのだ。


    彼が無念のツバを飲み込みながら、都心の繁華街にさしかかっとときだった。

    前方から、センターラインを越えて走ってきた車の上向きライトが彼の目に飛び込み、一瞬、目先が暗くなり、なにかに当たったショックに、彼はあわててブレーキを踏んだ。






    「しまった!」

    フロントガラスに飛び散った血と、口から血を吐いて倒れている洋服姿の中年婦人を見たとき、彼の全身の血は凍りつきそうだった。

    《くそっ、あの車さえ来なかったら…》

    彼は取り調べを受けているとき、フロントガラスとドアにべっとりとついたどす黒い血と、倒れて死んでいた婦人の姿を思い出しながら、ライトを上向きにして突っ走ってきた車をうらんだ。

    運転免許をとって六年、彼は一度も事故を起こしたことがなかったのだ。







    彼は長い取り調べにへとへとになって家に帰ると、車体についた血をきれいに洗い流し、眠っている妻は起こさずに、そっと床に入った。

    「ううっ…ううっ…」

    彼は眠ってまもなく、頭を割って血だらけになった女に追いかけられる夢を見た。

    それはさっきの中年婦人のようでもあり、また妻の洋子のようでもあったが…。

    女は、メチャクチャになった不気味な顔を彼に寄せ、血だらけの手で彼の首をしめつけた。

    彼は必死に逃げようとするが、足がもつれて動けない。



    🟥美女満載




    【落ちない血痕】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    F06997D1-8A24-440D-AA0D-AF63494D2C82




    《マンションで》

    女 「なんだかこのお部屋にすわっていると、いつもだれかにジーッと見られているような気がして、気持ちがわるいわ」

    男 「視線を感じるってわけか?」

    女 「ええ…」

    男 「いい勘をしているよ」

    女 「そう?」

    男 「うん、実を言えば、キミのすぐうしろの壁に、一人埋めてあるんだ」


    《オフィスで》

    サラリーマンA   「総務課のS子さん、あれで若い頃は、ずいぶんもてたんだって?」

    サラリーマンB   「うん。本人はそう言ってるな」

    サラリーマンA   「しかし、ひどい出っ歯じゃないか」

    サラリーマンB   「そこなんだよ、おもしろいのは」

    サラリーマンA   「なにが?」

    サラリーマンB   「彼女が言うには、ボーイフレンドがみんな熱烈なキスをしてすうものだからって…」


    《通勤電車で》

    サラリーマンA   「キミんとこの課長、家を新築したそうだね」

    サラリーマンB   「うん。エリート中のエリートだからな。家くらい建てられるだろうさ」

    サラリーマンA   「なにか新築祝いを持って行ったのか」

    サラリーマンB   「ああ、踏み台を一つ贈った」

    サラリーマンA   「踏み台?なんだいそれは?課長の注文か」

    サラリーマンB   「いや。オレたちを踏み台にしないでくれって…」






    《空き地で》

    子ども 「ボクんちではね、みんながなにかをほしがっているんだよ」

    大人 「そう…?」

    子ども 「ボクはね、ローラースケートがほしいんだ」

    大人 「なるほど。ローラースケートか」

    子ども 「うん。妹はね、着せ替え人形をほしがっているし、お母さんは新しいトースターをほしがっているんだよ」

    大人 「お父さんに買ってもらえばいいじゃないか」

    子ども 「そこなんだよ。お父さんは仕事をほしがっているんだ」


    《研究室で》

    研究員A   「おい。このごろはなにを研究しているんだ」

    研究員B   「うん。今考えているのは独身者のための "インスタント女房" ってやつさ」

    研究員A   「なんだい、それは?」

    研究員B   「袋から出してお湯をかけると、たちまち新しい女房ができるんだよ。どうだ、スゴイだろう?」

    研究員A   「ウーン。しかし…どうせ研究すんなら、既婚者のために、お湯をかけたと女房が溶けてしまうやつを先に頼むよ」


    《七月のマンションで》

    男 「首つり死体って、見たことあるかい?」

    女 「ないわよ、そんなもの」

    男 「オレ、一度見たことあるよ。崖の上から見下ろしたんだけどな」

    女 「どんなだった?」

    男 「そうだなあ。枝の下でユラユラ風に吹かれて、まるで紙みたいだったな」

    女 「あら、そういえば…」

    男 「どうした?」

    女 「さっき、ベランダから下の公園を見てたのよ」

    男 「うん…?」

    女 「大きな短冊だなって思ったけど、あれ、七夕さまじゃないのね」



    🟩美女満載




    【ブラックジョーク大全】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572







    「あなたの年齢で急にアクアラング潜水を始めるのは、少し無茶かもしれませんねえ」

    ボートの上であらい息を吐く私に、指導員の男がなぐさめるように言った。

    私は五十五歳。

    たしかに今さら潜って海底散歩を楽しむ年ではないだろう。

    指導員は内心 "馬鹿なやつだ。いい年をして" と思っているにちがいない。

    だが、私には私なりの理由があってのことなのだ。



    「ええ。それはよくわかっているんですけどね。ただ、どうしてもやってみたいものですから」

    私はいいわけでもするように気弱につぶやいた。

    ドボーン。

    大きな水音が響いて黒い装備のダイバーが海の中へ落ちて行く。

    このあたりは水深十四、五メートル。

    箱めがねでのぞくと、ダイバーたちのもどかしそうな歩みがよく見えた。

    「年取ったダイバーは、このクラブにいないんですか」

    私は船の上のストーブで体を温めながら尋ねた。

    「そりゃ、いないこともないですけど、みなさん若い頃から基礎訓練をやっている人たちですからね」

    アクアラングの重量は十五キロもある。

    ウェット・スーツを着て、潜水マスクをかぶり、足ひれをつけ、そのうえにこの十五キロのアクアラングを背負うと、地上では相当の重労働だ。

    しかし水の中に入ってしまえば、浮力の影響を受けてほとんど重さを感じない。

    しかも私は子どもの頃から水泳ぎは得意だった。

    今でも四、五百メートルなら楽に泳げるだろう。

    だからアクアラング潜水くらいと、たかをくくっていたのだが、実際に訓練を受けてみるとこれがなかなか思ったようにいかない。

    高圧の酸素を吸うので呼吸の調節がうまくいかず、四、五分間も潜っていると、もう息が苦しく心臓がドキドキと今にも破裂しそうに動悸を打つ。


    🟨こちらもオススメ
    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    BOMB (ボム) 2022年 06月号 [雑誌]
    価格:1097円(税込、送料無料) (2022/6/19時点)





    「あなたも若い頃からお始めになればよかったのに。二十年くらい前にも一度ブームがあったんじゃないですか」

    指導員の口ぶりは、まるで昔アクアラング潜水がはやったときに私がちゃんと遊んでおかなかったのをとがめているようにも聞こえた。

    今さらそんなこと言われたって仕方がないじゃないか。





    そう。

    私は小さいときから海が好きだった。

    水中めがねで見る海の底は神秘にあふれていて、いくらながめても見あきることがなかった。

    だから以前にもアクアラング潜水をやってみたいと思わなかったわけではない。

    「そうですね。二十四、五年前になりますかね。ゴルフやアクアラング潜水がやたらはやった時期がありましたよ。ただ、あの頃の私はレジャーどころじゃなくってね。なんとかマイホームを建てようと夢中になっていたものだから」

    私は苦く笑って言った。

    親父は一生借家住まいだった。

    家一軒建てることもできずに死んでしまった。

    子どもたちに何一つ残さずに…。

    だから私はサラリーマンになったとき、なんとか自分の働きで自分の家を持とうと思った。



    🟩美女満載




    【ライフ・ワーク】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572






    🟩美女満載



    何歳に見えます?

    えっ、五十歳?

    ひどいなあ。

    いくらハゲ頭がピカピカ光っているからって…。

    まだ二十五歳なんですから。

    ホント、ホント。

    でも、こうきれいに頭の毛がなくなっちゃ、そう見られても仕方ないのかな。

    ハゲ頭になったのは中学三年生のときなんです。

    ううん、べつに病気じゃない。

    ボクはその頃、一流高校に入学しようと思って、塾に通いながら猛勉強をしていたんです。

    ボクよりママのほうが熱心だったけど…。








    だけど、ボクは生まれつき頭がよくないでしょう。

    いくら努力しても成績はサッパリあがらないんです。

    模擬テストを受ければ、いつもビリのほうだし…。

    とても一流高校なんか入れっこない。



    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    BOMB (ボム) 2022年 06月号 [雑誌]
    価格:1097円(税込、送料無料) (2022/6/13時点)





    そんなとき、ママが耳よりの話を聞いて来てくれたんです。

    ほら、ゼロックスとか、リコピーとか、書いたものがそのまま写る複写機があるでしょう。

    原理はあれとおんなじだと思うんです。

    いや、原理はまるでちがうのかもしれないけど、やり方はあれとソックリなんですよ。

    覚えなければいけないことを紙に書いて頭の上に載せ、そのまま複写機のお釜の中に頭を突っ込みます。

    強烈な光が頭の上を通過したと思うと、紙に書いてあることがみんな脳味噌に複写されるんです。

    本当ですよ。

    英単語だって、数字の公式だって、これで複写すればバッチリです。

    次から次へと、ドンドン詰め込めるから、スイスイ暗記ができちゃうんです。

    ただね、複写機に頭を入れるとき、髪の毛が生えていちゃ駄目なんです。

    記憶の邪魔になるでしょう。

    だから、どうしても頭をクリクリ坊主に剃らなければいけない。

    ボクの家は、おじいさんもロマンスグレイだったし、パパもまっ黒な髪だった。

    絶対にはげる血統じゃなかったけれど、まともな方法で勉強してたんじゃ一流校なんて無理だったもんね。








    【ヒカリ型複写機】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender






    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    BOMB (ボム) 2022年 06月号 [雑誌]
    価格:1097円(税込、送料無料) (2022/6/8時点)





    ザー、ザザー。
    シャワーの音にハッと目を覚ました母親は、こんな真夜中にいったいだれが、といぶきしげにまわりを見まわした。

    だが、起きだしてシャワーを浴びに行っている者は誰もいなかった。

    みな、昼の旅の疲れでぐっすりと眠っていた。

    「……。」

    母親は思わずベッドの上に半身を起こした。

    身を乗り出してシャワールームの方をうかがった。

    大きな水の音が確かにしていた。

    人の気配もあった。

    「お、お父さん!」

    気味が悪くなった母親は隣のベッドに寝ている夫を揺り起こした。

    そして震えながらシャワールームの方を指さした。






    父親は、眠い目をこすっていたが、やがてベッドからおり、そっとシャワールームに近づいていった。

    そのとき父親は急に背筋が冷たくなった。

    消したはずの電灯がつき、閉めたはずのガラス張りのドアがかすかに開いており、シャワーを浴びている髪の長い女性の姿がシルエットになって浮かび上がっていたのである。

    その女性は背の高さからいって、十四、五歳の少女で、娘の正子さんと同じ年ぐらいだった。

    「だれたっ!」

    父親はドアに手をかけながら、大声でどなった。

    と、その瞬間、少女の姿がスーッと消え、電灯も消えてしまった。

    父親も母親も恐怖のあまり息が止まりそうだった。





    🟩美女満載




    【シャワールーム】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572



    「だから言っただろう。女はナルシストだから、絶対に麻雀は強くなれないって…」

    「あら、まだゲームが終わったわけじゃないわ」

    「じゃあ、オーラス行くぞ」

    青木が勢いよくサイコロを振った。

    土曜日の午後である。

    商社マンの青木はしゃれた雀荘の一室でクラブのホステス三人を相手に卓を囲んでいた。

    ことの起こりは三日ほど前の夜で、青木は銀座のクラブで社用の酒を飲みながら言った。

    「女は自分の力を冷静に判断することができないから、麻雀をやっても絶対ダメだね」

    するとホステスの眉子が横から口をはさんで、

    「そうかしら?あたし今までほとんど負けたことなくってよ」

    「それは相手が飴をなめさせてくれてんだよ」

    「そんなことないと思うわ。お金賭けてんですもの」

    「お金なんか…ものはためし、眉ちゃんが "体を張る" って言ってごらん。みんな本気にぬるから、まず勝てっこないね」

    「じゃあ、青さんやってみる?」

    「願ってもないね」

    「ぜひやりましょうよ」






    眉子は勝気なホステスである。

    短大を出てすぐこの世界に入り、二年ばかりのうちにナンバーワンを争うほどの売れっ子になった。

    器量は十人並み、客扱いもそううまいほうではなかったが、なぜか眉子ファンは多い。

    ヤンチャなお嬢さんみたいな明るさがあって、それが中年のおじさま族によく受けているらしかった。

    だがホステス業に好都合な性格が、そのままギャンブルにとってもプラスになるとは限らない。

    特に眉子のように短い期間で華やかな座に着いたホステスには、男の世界を甘くみるくせがぬぐいきれない。

    一流の客たちと毎晩飲んだり騒いだりしているうちに、自分もつい一流の人物になってしまったような、そんな錯覚にとらわれやすいものだ。

    お遊びの相手として適当にあしらわれているのも忘れて、ついつい自分の力を過信してしまう。

    こんな性格の人がギャンブルに強かったためしはない。





    「じゃあ、青さんが負けたらすてきなプレゼントをして。あたしが負けたら…いいわよ。お望みのものを進呈するから」

    青木が眉子の挑戦に応じたのはもちろんである。

    青木が考えた通り眉子の技量はたいしたものではなかった。

    聴牌をすれば、すぐにリーチをかける。

    あがれなかったときには自分の手を開いて、

    「ああ、ついてない。惜しかったわあ。倍満になるとこだったのに…」

    と、大仰にくやしがる。

    引っかけリーチでうまくあがったときなどは、

    「ね、うまい人なら当然出すはずなのよ「

    喜色を満面に浮かべて青木の顔を見つめた。

    半荘二度の約束で始めた勝負だったが、最初のゲームは青木の独り浮き。

    眉子はどうにか原点すれすれを確保したが、第二ゲームはいけなかった。

    オーラスを迎えて沈みは見二万点あまり。

    青木から約満貫でも奪い取らない限り、とても合計点で青木に勝つことはできなかった。




    ⭐️美女満載




    「このメンバーなら、何度やってもトップを取る自信があるな」

    「ついているだけよ。あたしだって、いつもはもっとつくのよ」

    眉子はまだ譲ろうとしない。

    「女はこれだから困る」

    「あっ、それ、ポン」

    眉子が緑發をないた。

    「眉ちゃん、約束は本当に守るのかい?」

    眉子は同僚のホステスに気がねをして、ちょっと目くばせをしたが、

    「守るわよ。青さんこそ負けたらダイヤでも贈ってよ」

    「これで終わりだろう。もう負けっこないよ。どうするんだ、緑發なんかないて?安いなあ」

    「ドラをたくさん隠してあるのよ」

    どうやら眉子には点棒の数もよくよめていないらしい。

    倍満であがってもまだ足りないのだ。






    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    BOMB (ボム) 2022年 06月号 [雑誌]
    価格:1097円(税込、送料無料) (2022/6/6時点)





    「それ、ロン」

    青木が八索を捨てると、眉子が声をあげた。

    「混一、緑發、チャカチャカ…満貫にならないわねえ?」

    「せいぜい五千二百かな」

    「あら」

    眉子が牌を開きながら手を止めた。

    「どうした?」

    「これ、ほら、なんとかっていうんでしょう?」

    「えっ」

    「オール・グリーンとか…」

    青木が身を乗り出した。

    「役満貫ね」

    「そうだ」

    「バンザーイ!それみなさいよ。負けるはずないのよ。いつだって絶対に勝つんですもの」

    勝負は一瞬にして大逆転となった。

    もし眉子が自分の手の大きさを知っていたら、興奮を顔に隠すことができなかっただろう。

    隠すことができなければ、青木がみすみす八索を振ることもなかっただろう。

    しかし今さら悔やんでみても仕方がない。

    負けは負けに変わりがなかった。

    「ね、そう見くびったものじゃないでしょう」

    「まあな」

    青木は言葉少なにうなずいた。

    当分は眉子の自慢話を聞かなければなるまい。

    思えば痛恨の八索であった。



    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    NMB48本郷柚巴1st写真集(タイトル未定) [ Takeo Dec. ]
    価格:2420円(税込、送料無料) (2022/6/6時点)


    【八索の女】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    257F4BAD-E35D-4F49-A8E3-B50187798C38
    F0A3E4A4-D2EE-4578-BF60-C37D5F54F305
    66A0144F-2825-42A9-98E3-20CB96F601CA
    CFE16582-AA69-4687-A6E1-8B4E9AA974C3
    AA9F8ACB-F48C-4F62-9D7A-AC15CF7EC710
    D7752A13-826C-439C-A5A6-B067C71401AF
    8CF63F63-ADFA-4680-B980-0961355172EC
    9FEF4AC4-8F3E-4C17-85C1-2B6367ED01FA
    328A5491-7CE5-435E-A649-B0577A41C76C
    62707932-B9A0-4CC5-BBBE-F833D12B8FBE

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    C0273858-1EFD-40FF-9C4C-8DBA54DE2897
    115FD90C-6A02-48F5-892B-52F6671B35CE
    D3548141-18FB-4A55-9712-6B8075F67DA1
    FD20A87B-0B98-4775-AD0E-B66AB661272F
    1C3799AC-FDB5-4DB4-AD03-A4975D67BCE8
    49EBED70-CF80-44E3-9E71-BAE91448C098
    0C49AFE5-1E52-46CE-86D4-A1D9AC152BB0
    900BFCA5-F63E-41AC-A983-B74CE3A0412A
    E015AED2-E82F-4E2C-AC82-97AA7377A379
    99DFD2AD-17DB-4C7E-BC38-D57F467DFD6D

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    2C0C1BD4-7E0E-4F79-A60C-169B108F7896
    10E58FD3-0C7E-479F-88DB-155D365DBF02
    3540E719-C6A5-494A-8044-5B80073C5A86
    137354FB-28B5-4EE3-B2AC-9F264BECC0AB
    039D3C57-B195-4B43-B455-EED7B351458A
    F79F1462-A197-46FB-B410-CC04C2B1E01E
    D49E8F1C-F35F-4D62-AED5-7CB01030460D
    D8A982E6-9DE2-445C-8D28-5926C8D91DEC
    A49CA597-3DF8-4BD8-9B5C-D21A8F776D0D
    0AEED076-B915-420B-8B76-C2FAC089F66F

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    BA1A7E77-88D6-4C4F-ABB2-C44082D96DA0
    C23656FB-3893-4A12-A97C-AFCA3D0B9AF9
    106E812D-969B-49F1-BDE5-EB890F775237
    83FA8847-399E-4DA9-BAA9-C4225D8295B0
    64895303-6B17-481C-9E8A-74EA18A9B567
    EA42A8E3-251D-4489-8043-395DF2506144
    079DB614-7A27-40C5-9872-866622EF1F4E
    55BB78DB-D1E6-4EDE-AFFF-EE25E42C5EC0
    4B6D6A16-DDD8-4AEE-8676-4D62A3FE825A
    6D2FA8D2-C735-49F1-A8E2-A3D6B3083E7B

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    B5784C49-2E49-4D69-A9F9-AF86FF812E3F
    808A8891-7784-4AEB-9CA1-3A7D3C5B081C
    4F629F88-77AA-4FEB-A400-095114DF629C
    7D879120-DCF3-4A80-BF9C-DF20A6FBC7DF
    0F17AB55-93BC-47FD-A2C4-A2E10576D17E
    4E8AD386-2949-4C8C-A4E4-77E863693898
    DD793566-3CA7-4F0A-944B-1DCC60F6BFCF
    AB01D943-861C-42D1-AEA4-67F919E17508
    BC6A584E-B48B-4263-BEC5-4118A15D7FA2
    7DDB4B9D-ABD8-4F0D-BC78-D27206665D08

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    A3DBC68D-C603-427D-82C8-2DE8DCD39276
    3A56FC5E-DDF2-4C2D-A85D-E8ED9621156B
    42CDEF40-13E7-4BC7-9A62-E0D95D2117D0
    EA3E0F0D-48E9-4DCA-BB9E-29D4A31B2B98
    D5E24798-F003-41E9-83E1-157DF7D443EB
    D7D65656-FA48-4DC1-85BE-7612626BCE87
    352B854B-BAAA-4760-8D0A-C42E3EDBBC2C
    654ED559-3511-461E-8DFC-3FD06D688ED5
    B5A1EE00-952E-40E7-AC9A-6F1D6808D6B1
    E4A247A1-59B9-4983-9489-07B3F00E0158

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック












    【稲川淳二 マブダチへの遺言】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    8F550F02-90BF-419C-A5B6-ABB52310EF93
    54DDC6F6-0381-436B-9C0E-7A1C8095B096
    9783C587-6993-4230-A832-20C14FD0751D
    485675B8-0A86-4B45-ABDA-BBE597270A33
    10F296C1-7FB4-4CD7-8D36-3168BB61A969
    F375A5B0-6AC5-4CA6-8CDF-D8321414861C
    118DD477-5D7F-4027-AE8A-4DA10428CFDF
    9913F53D-D6D4-458E-A30E-DBB6AB0994A5
    43C8E8F2-B7A7-4D84-B130-A94B89280433
    7431AE45-594A-49A5-AF70-6CFA9222E8EA

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_9794







    【稲川淳二の怖い話】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    744BE392-AB27-479E-B0E6-D50F53A00E1E
    5095CDCF-AE28-42FE-BBC9-2389606F6B6F
    82FFE63C-1DEF-4F8D-990F-1D7878C81CE8
    032071DA-1BC0-412F-AC20-847CFB285378
    6528B8E6-F880-40CF-9ECD-E3529321AD1C
    290EB39A-8DF7-412B-9E72-9A521BB66772
    31D80D0C-E93E-4115-B0DF-F7767BE84B4E
    6C465AF7-061D-4699-AA30-D1670679B226
    82BEC2A1-04F9-4372-BAEB-6355170AAA04
    6CE388A8-FC20-406F-882E-828576C0D03A

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    IMG_0572










    あなたは一年生。
    もうすぐ七歳になる。
    家は木造アパートの二階で母さんはいつもいない。
    母さんは東町のレジャー・ランドでキップ切りをやっている。
    学校が終わると、あなたはアパートの鍵をあけ、だーれもいない部屋へ帰る。
    テーブルの上のおやつを食べ、ヤクルトを飲む。
    それから文字盤に漫画のいっぱいかいてある置き時計を見る。
    針が縦にまっすぐになるまでには、まだまだたくさんの時間、待たなければならない。
    あなたはプラモデルや、模型飛行機のセットを出して見る。
    工作は大好き。
    だけど工作はとてもむつかしくて、いつも上手に作れない。







    急に窓の下で子供たちの声が聞こえる。
    あなたは大急ぎで部屋を飛び出す。
    ヤッちゃんとミサちゃんは仲よし。
    マコちゃんは意地悪だ。
    でも五時を過ぎると、みんな家へ帰ってしまう。
    あなたはもう一度ひっそりとしたアパートの部屋へ戻る。
    そして、少しだけテレビを見る。






    ボン、ボン、ボン、ボン、ボン、ボン。
    時計が六つ音を鳴らすと、あなたは待ちかねたように外に駆け出る。
    繁華街を走り抜け蛇屋の角でちょっとだけショウ・ウインドウを眺め、それから次の大通りを曲がって立体交差の踏切りを越せば、もうレジャー・ランドの裏門は近い。
    秋の日は西の向こうにストンと落ちて、さっきまで長い尾を引いていたあなたの影法師も、今はもうどこかへ逃げて行ってしまった。
    鈍色の空の下でネオン塔の光だけが、次第に確かな輝きに変わっていく。 







    「やあ、ヒロちゃん。お迎え?」
    顔見知りのおばさんが、あなたの頭を撫でながら柵をあけてくれる。
    レジャー・ランドの閉門は午後五時半。
    だからもうお客さんの姿はどこにもない。
    木馬も電車もロケットも、みんなシートをかぶり声を殺してうずくまっている。
    菊の香り。
    夜のとばり。
    風の静けさ。
    あなたは、いつか童話で聞いた動物たちの墓場のことを思い出す。
    菊の花は死人の匂いだ。
    夜の暗さは死人の国だ。
    そして音のない風は死人の声…。
    冷たさが心の中を走り抜ける。
    母さんはどこにいるのだろう?





       



    「ヒロちゃん」
    闇の中から突然声が聞こえて、作業服のまま母さんが近づいて来る。
    母さんはポケットからガムを突き出す。
    あなたは黙って受け取る。
    うれしい。
    でも、それを顔に出すのが恥ずかしい。
    ガムは甘くてハッカの味が喉にしみる。
    「明日から菊人形が始まるのよ」
    「菊人形って、なに?」
    「菊で作ったお人形よ。今、おじさんたちが作っているわ。見る?」
    「うん」
    母さんは、あなたの手を引いて歩きだす。
    急に西風が強く吹いて来て、あたりに散った紙屑をクルクルと廻す。
    ポップコーンの袋、ウルトラマンのマスク、焼きそばの紙皿。
    みんな小さな竜巻きに乗って空に舞いあがる。
    広告塔がガタガタと恐ろしい音をたてる。
    「あそこよ」
    母さんが指差す先にベニヤ張りの大きなバラックがある。
    あれはいつもお化け屋敷をやっているところ…。
    あなたは、そこで見た不気味な場面を思い出す。
    古井戸にさがる首、音もなく開く棺の蓋、老婆の青い手…。
    お化けは本当にいるのだろうか。









    「今晩は。ちょっと見せてくださいな」
    母さんが入口で声を掛ける。
    中に入ると、菊の香りがムッと鼻を刺す。
    天井は暗く、長く垂れた電球が、大きな菊の山をボンヤリと照らしている。
    おじさんたちが、木の棒を立て、針金を巻き、その上にせっせと菊の着物を着せていく。
    できあがった人形は、闇の中にスックと浮かびあがる白い影。
    おぼろな生命。
    あなたはブルっと身震いをする。
    「ほら、ヒロちゃん。乙姫さまと浦島太郎よ。きれいでしょう?」
    「うん」
    あなたは仕方なしにうなずく。
    母さんはこんなものが本当に好きなのだろうか。
    乙姫さまも浦島も、紙のようにしらじらと立っているだけなのに…。





    🟥姉妹サイト
    【菊の香り】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    FullSizeRender


















    「学校の地下室にお化けが出るらしいぞ」

    「そんなバカなことがあるもんか。おまえ、オカルト映画の見すぎだよ」

    「なにいってんだ。ちゃんと先輩から聞いたんだぞ」

    昭和四十九年八月十二日、九州佐世保市にある某中学校でのことである。














     「その先輩だって、自分で見たわけじゃないでしょう」

    村田美子さん(二年)も、お化けを否定する一人であったのだ。

    お化けがいるらしいという生徒四人、それを否定する生徒五人で口論は続けられた。 

    「それじゃ、先輩のところへ行って、はっきり聞いてみよう」

    村田さんたちは、さっそく近くに住んでいる先輩の家を訪ねた。

    高校一年の先輩はちょうど帰ってきたばかりで家にいた。








    「ああ、本当だとも。首のない女のお化けや片目の男の幽霊が出てきたよ。オレもちゃんと見た。それに、あの不気味なうめき声を聞いたら、当分は眠れないぞ」

    その先輩は、自分が見たときの様子を身ぶりをまじえて話した。

    「まだ信じられないわ」

    先輩の家からの帰り道、村田さんたちの否定派が言った。

    「嘘か、本当か、地下室へ入って調べてみようじゃないか」

    飯島君がもちかけた。

    彼はやや中立的ではっきりした態度は表明していなかった。

    「よし、行ってみよう」







    🟦姉妹サイト



    【地下室の怪】の続きを読む

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    2C22912B-F16B-40EA-AFB6-F238DC473BC9
    AEFD1092-6A60-4D58-8D1C-E513BBD46BCC
    53D9C876-57DE-4055-B5CE-5BA16015891B
    D9B748DA-F9C0-433E-9B7C-E9C8B3FD3E2D
    AC0D9054-1D57-4275-9294-66FB5651CC16
    1C8178EA-BDDF-48F8-A517-676F4C2C39F5
    1B6FD0AE-3D20-4205-A009-FBD606D6D9C3
    9EFAE3CA-1E17-45EA-A1C6-DB3FCE9DC88B
    FBC0691D-D65E-4F40-9672-7869C7469956
    CE4692AD-89C2-4619-961C-98DFCB9F7347

    このページのトップヘ